成年後見制度の利用について
まだ十分と言うには程遠いですが、近年は成年後見制度の周知が少しは進み、困難な状況を抱える方に対応する一つの手段として成年後見制度は理解されてきています。ただ、実際には、どのようなときに成年後見制度を利用するべきなのかという入口のところで悩むことも多々あります。そこで、以下特に、利用開始の時点に重点を置いて法定後見、任意後見の順にご説明を行っていきます。
まず法定後見ですが、これは既に判断力が低下している方が利用できる制度です。どんなに身体が不自由な方であっても判断力が十分に有る方は利用できません。
また判断力が低下している方すべてが利用しなければならないものではなく、当該ご本人のご家族等がしっかりと支援して安定した生活ができていれば問題は無い訳です。
それではどのような場合に利用を検討するべきかについて考えると、上記のようにご本人を適切に支援してくれる方がいない場合や、自宅を売却したり、定期預金を解約しないと今後の生活費が捻出できないとき、また詐欺や横領行為、虐待などの被害にあっている場合、重要な契約等を行う必要がある場合などが考えられます。
次に任意後見ですが、これはご本人の判断力が十分に有る間に、将来の判断力が低下してしまった場合に備えて、将来困るであろうと思われる事柄をあらかじめ契約で定めた相手に行ってもらうものです。自分の将来の事柄をあらかじめ契約で定める訳ですから、自分で何の事柄をどのように行ってもらいたいのか、またどの人に業務を行ってもらうべきかよく考える必要があります。
専門家に頼んでいるのだからお任せでいいと言われる方が時折ありますが、このような方の場合には、後日こんなはずではなかったとトラブルになることも想定されますので、任意後見を利用される場合はご自分でも熟慮したうえで契約することが重要だと思います。
いずれの制度も超高齢化社会を迎える今後において必要とされる場面が増えてくることが想定されます。ご必要を感じられる方は司法書士にご相談ください。