はんことデジタル社会
司法書士は、登記の専門家。
登記申請代理業務において、「はんこ」は司法書士に身近で重要な存在です。
契約書や委任状など登記申請に添付する書面には、押印が必要なものが多くあります。
昨年来、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、会社に出勤しないリモートワークが推奨され、業務のデジタル化の広がりとともに決裁印の省略や廃止が求められるようになりました。ひいては行政手続きにおいても「脱はんこ」の要請により、そもそもオンラインで提出するものでない婚姻届、離婚届、書面による確定申告でも押印が不要となりました。
しかし、ここで廃止されたのは、いわゆる「認印」の押印のことであり、「実印」(印鑑登録がなされている印鑑)の押印が必要な手続きについては従来通りとなっています。
「実印」は、本人であることを証明するものとして重要な役割をしているからです。
とはいえ、「実印」の役割をする「電子署名」とこれを格納するマイナンバーカードの普及は、国を挙げて進められています。2021年9月からはDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を目的としてデジタル庁が設置され、行政のみならず仕事や日常生活のデジタル化が今後ますます進むものと思われます。
はんこを押す時の緊張感や、はんこが押されていることの安心感、長年使用したはんこへの愛着は、「クリック」(スマホやタブレットではタップ)にはないものですが、失われていくのかもしれませんね。