権利証の再発行ってできるの?

権利証の再発行ってできるの?

 『権利証を失くしたんだけど再発行できますか?』とよくお尋ねいただきます。
結論から申し上げると、権利証は法務局で発行されるのですが、これには再発行という制度がありません。つまり『法務局さん権利証を失くしたのでもう一度ください』というのは認められないのです。ちなみに、現在は制度が変わり権利証が登記識別情報通知というものに変わっていますが以下同じ事としてお読みください。

 では、権利証を失くしたらどうなるのでしょうか?まず安心していただきたいのは、例えば自宅の権利証が見当たらないからと言って自宅の権利がいきなり無くなるわけではないという事です。また、紛失した権利証を誰かが悪用して、勝手に名義変更の登記をしてしまわないかということが考えられますが、このような登記の申請には、権利証のほかに、印鑑証明書や実印の押印が必要になりますし、またそれらの手続を司法書士に依頼した場合、司法書士は権利証を持参した者が本人かどうかのチェックを必ず行いますので、悪用するのも容易ではないと思われます。(注1)

 では権利証が無くなったらどんな不都合があるのでしょうか?
 それは、不動産に関する手続をするときに権利証が必要になり、それが無いと、そのままでは手続が進められないという問題が起こるのです。
 不動産に関する手続きとは、不動産を売却するとか、不動産を担保にローンを組むといった手続きが代表例です。このような手続きをしようとする際に、法務局は「本当に本人が関わっているのか?」をチェックする意味でも権利証の提出を求めるのですが、この時に権利証を紛失していて提出できないとなると、手続が進められなくなります。

 そこでこのような場合に、司法書士が登場します。
 あなたがその不動産の所有者であることを登記手続を行う司法書士が確認したうえで司法書士が「本人確認情報(本人に間違いない旨の証明書)」を作成します、これを権利証に代えて法務局に提出することによって、手続が進められるようになるのです。(注2)
 この本人確認情報を作成する司法書士は、ご本人であることを確認できる運転免許証等の本人確認書類の提出を求めたり、ご本人であると司法書士が確信を持てるまで色々と細かい聞き取りを行います。例えば「この土地はいつ頃誰から取得しましたか?」といった質問をして、本人に間違いが無いかを確かめていくのです。
 そしてこの本人確認情報を作成する司法書士には大きな責任が発生しますので、司法書士報酬が別途発生することになります。
 つまり権利証を失くしても登記手続は出来なくはないが、司法書士から根掘り葉掘り色々な質問攻めにされたうえに費用が高くつくという事になります。
 権利証はいざという時のために大切に保管しておいてくださいね。

(注1)不正登記防止申出と登記識別情報失効申出などの悪用を防ぐ手続もあります。
(注2)その他、法務局による事前通知制度や公証人の認証制度というものもあります。

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