相続登記の義務化
令和5年になりました。
本年もよろしくお願いいたします。
まだ先の、令和6年4月1日からのお話になりますが、不動産登記法の改正により相続登記の義務化という制度が始まります。
登記の義務(~しなければならない)という条文は、不動産の権利の登記にはあったのかな、と思い返してみても、今までなかったような。
「登記しなければならない」と言えば、「物権の変動の登記は第3者への対抗要件(民法177条)になるから登記しなければならない」と、司法書士試験の受験時代から覚えていました。
この場合の「登記しなければならない」のは、第3者に対抗するためであって、法律で義務とされているわけではありません。
例えば、お家を新しく建て所有するために・土地を売主から買う・建築会社にお家を建ててもらう・金融機関からお金を借りて売主や建築会社に払う・ローンを組み抵当権を設定する。
この流れには物権の変動があって、それぞれ自分の権利を登記簿に表すために登記をします。
第3者に対抗する、というのは、売主が他の人にその土地を売らないようにするため(2重譲渡)や、金融機関はその物件に対し順位1番で抵当権を主張したい、という、物権の得喪を争う相手方に対しては、登記を早く入れた方がその物権を主張できる、というものです。
このため、売買による所有権移転や、それに伴う金銭消費貸借による抵当権設定は社会通念上、即日登記をしますし、おおかた売買契約書や抵当権設定契約書で遅滞なく登記をする旨を要求しています。
来年から、法律上、相続登記は義務になります。
不動産を取得した相続人に対し、その取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をすることを義務付ける、という改正法が施行されます。
相続登記の申請の義務化は、所有者不明土地をなくそうとする国の取り組みの一つです。
相続登記がされないまま亡くなった人の名前で登記簿が残り続け、今の所有者が分からない土地がありますと、災害からの復旧・復興事業や公共事業、民間事業などの土地取引に関して、事前に所有者を見つけ出すために多くの手間やコストがかかります。
そのことがとても大きな問題となっているからです。
相続登記と一言で表しても、年代や関係性などによりさまざまなケースがあります。
我々司法書士は改正法に関して勉強を積み、皆さまのお役に立てるよう対応してまいります。