改正貸金業法の早期完全施行を求める声明

改正貸金業法の早期完全施行を求める声明

タイトル

会長声明 (兵庫県司法書士会会長 島田 雄三)

趣旨

 当会は、政府・金融庁に対し、改正貸金業法の早期完全施行を強く求める。

理由

 深刻化する多重債務問題を解決するため、平成18年12月、改正貸金業法(以下、「改正法」という。)が成立した。改正法は、段階的に施行され、出資法の上限金利の引下げや過剰融資の禁止(総量規制)等の施行を残すのみとなり、平成22年6月までに完全施行される予定である。

ところが、近時、完全施行の延期や見直しを求める動きが一部に見られる。

 完全施行が実施されれば、一般市民の資金需要が満たされずヤミ金に手を出す人が増加する、あるいは、中小企業の資金調達が制限され連鎖倒産が増加する、と喧伝するのである。
しかし、これらは全く議論に値しないものである。

 それまでの(旧)貸金業法が高金利を容認した結果、サラ金3悪と言われた「高金利」「過剰融資」「過酷な取り立て」により、これを利用した多くの国民が苦しめられ、時に、死に追いやられ、高金利での貸付や過剰融資により、借主やその家族の生活は破壊されてきたのである。

 今、必要なことは、改正法を早期に完全施行することにより、国民を高金利の借入れから完全に開放し、同時に違法なヤミ金を撲滅するとともに、健康で文化的な最低限度の生活を支えるためのセーフティネットを充実させることである。

 改正法成立後、政府が設置した多重債務対策本部は、

① 多重債務相談窓口の拡充
② セーフティネット貸付の充実
③ ヤミ金の撲滅
④ 金融経済教育

を柱とする多重債務問題改善プログラムを策定し、官民が連携して多重債務対策に取り組んできた。
その結果、多重債務者や自己破産者は着実に減少してきている。

 経済危機による中小企業の倒産、労働者の失業が相次いでいる中、改正法施行を延期し、高金利・過剰融資温存のための見直しをすることは、再び、自殺者や、多重債務者の急増を招くことになり断じて認めるわけにはいかない。

長年にわたり多重債務問題に取り組み、市民の声に耳を傾けてきた当会としては、改正法の早期完全施行こそが多重債務問題の根本的解決につながるものと確信し、政府・金融庁に対し、その実現を強く求めるものである。

会長声明

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